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動き出した核燃料サイクル計画
【うごきだしたかくねんりょうさいくるけいかく】


 青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場で、2006年3月に実際の使用済み核燃料を用いた試運転が始まった。試運転は17カ月間だが、この間に430tの使用済み核燃料再処理してプルトニウム(Pu)4t程度を取り出す予定だ。日本初の商業用再処理工場の実質的な運転の開始であり、再処理で取り出したPuを再び燃料として利用する核燃料サイクル計画が具体的に動き出したことになる。
Puとウラン(U)を混合してMOX燃料にする加工工場も、再処理工場に隣接して07年4月に着工し、12年の操業開始を目指すことになっている。本来の核燃料サイクル計画では、このMOX燃料を使って高速増殖炉を運転して、さらにPuを増やすことになっている。だが、高速増殖原型炉「もんじゅ」は1995年の火災事故で止まったままだ。運転再開の準備は始まっているが、規模や経済性から見て、「もんじゅ」の技術が実用高速炉につながるとは考えられなくなっている。このため経済産業省資源エネルギー庁は、30年ごろまでに実用規模の新たな高速増殖炉開発する構想をまとめた。
この構想が実現するまでに、取り出したPuを消費する役目を果たすのが、MOX燃料を既存の原発燃料とするプルサーマルだ。関西電力東京電力は国の実施許可を得ているが、関電はMOX燃料を製造した英核燃料会社によるデータ偽造で、東電は原発トラブル隠しなどで実施が遅れている。九州電力の玄海原発は05年9月に、四国電力の伊方原発は06年3月に実施許可を得て、ともに10年から実施することを目指している。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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