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新しいマクロ経済学


new macro economics

 新しいマクロ経済学とは、一言でいえば、マクロ経済学ミクロ経済学と同様に経済主体最適化仮説に基づいて構築されなければならないという考え方のことである。具体的には、実物的景気循環論や内生的経済成長論などのことを指す。実物的景気循環論が登場した背景は次のようなことである。ケインズ経済学の登場以降、景気循環存在するということは、市場に不均衡存在することとほぼ同一視されてきた。市場に不均衡存在するからこそ、産出量や雇用量が増えたり減ったりするというわけである。だが、実物的景気循環論によれば、景気循環と均衡は両立しうるものである。実際この理論によれば、現実の景気循環とは、技術革新などの実物的なショックが経済に引き起こされることによって発生するのであり、そのそれぞれの局面で市場は常に均衡しており、それどころかパレート最適ですらある。この理論の最大の欠点は、賃金に対する労働供給の弾力性を現実のデータよりかなり大きいものと想定せざるを得なくなり、実証的な裏付けにやや乏しいところにある。また、内生的経済成長論が登場した背景は次のようなことである。いわゆるソローモデルといわれる新古典派経済成長理論は、2つの欠点を持っていた。経済成長率決める最大の要因である技術進歩率モデルの内部で決定することができなかったこと、並びに労働者1人当たり持続的な成長が起こり得ないこと、である。内生的経済成長論は、ソローモデルにはなかった収穫逓増ラーニング・バイ・ドゥーイング(実行による学習)を導入することによって、この2つの欠点を解消することに成功した。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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