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IMF融資制度


IMF Lending Facilities

 IMF設立初期の融資制度は、国際収支の悪化した加盟国が、自国通貨を対価に為替相場の安定化に必要な外貨を引き出せる制度、並びに一定の期間内にいつでも合意された資金の引き出しができるスタンド・バイ取極(とりきめ)よりなっていた。これらに加え、近年、対象国の国際収支悪化の程度や態様に応じ、経済構造要因による困難を救済する拡大信用供与(EFF)、一時的な輸出の落ち込みや穀物輸入価格の上昇による収支悪化を救済する輸出変動補償融資(CFF)、急激な市場の信認喪失により巨額かつ短期の支援が必要な国を救済する補完的準備融資(SRF)などが設けられた。また、低所得国を対象に、貧困削減・成長ファシリティー(PRGF)、重債務貧困国(HIPC)イニシアチブも設定された。1962年には、IMFと先進10カ国(米国、英国、旧西独、フランスイタリアオランダベルギースウェーデンカナダ、日本)の間でGAB(一般借入取極、General Arrangements to Borrow)が締結された(84年には当時IMF非加盟国のスイスも参加)。当初は、GAB参加国がIMFから融資を受ける場合、IMFの資金を補充するために60億ドルの範囲内でIMFが他の参加国から借り入れを行うものであった。その後発展途上国累積債務問題が顕在化し、83年にGABは10カ国以外の国々への貸し出しの場合でも利用できるようになり、IMF借り入れ枠も170億SDRに拡大された。94年のメキシコ通貨危機際しては、さらに資金基盤の拡充が合意され、98年11月に25カ国が参加してNAB(新規借入取極、New Arrangements to Borrow)が発効し、IMF借り入れ枠はGABと合わせて340億SDRと倍増した。NABは、同年12月、ブラジル向けの融資の際に初めて発動された。IMF幅広い機能を持つに至っているが、活動の透明性世界銀行など他の国際金融機関との機能の重複が指摘され、融資制度のあり方を含めて改革が検討されている。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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