EU財政安定成長協定
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EU Stability and Grouth Pact
ユーロ圏は、金融政策が欧州中央銀行(ECB)によって一律に決定されるのに対し、財政政策は各国の主権に委ねられている。しかし各国の財政規律が緩むと、ユーロの安定を阻害しかねないので、包括的な財政協定によって赤字幅をGDPの3%以内に収めることを義務付けてきた。EU最大の経済規模を誇るドイツは、旧東ドイツ地域の停滞に加えて、経済構造の硬直性から高い失業率に悩まされてきた。フランス、イタリアも、失業問題に悩む点では同様であり、財政による景気刺激策には期待が大きい。この現実を追認して2005年3月には、国際支援や年金改革に伴う支出を協定の枠から外す方向で合意が得られた。これに対し、ECBはこの弾力化条項がユーロの為替相場に悪影響を及ぼすとの懸念を表明した。イタリアは、05年以降も赤字が3%以内に収まる見通しが立たず、欧州委員会から是正措置を勧告されている。またドイツ政府も、07年まで6年連続して赤字が3%の枠に収まらないとの見通しを公表した。このように、弾力化しても財政協定が実効性をもつか疑問は残るが、ドイツのメルケル連立政権は増税路線を表明している。
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![]() | 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14844913 |