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EU財政の安定化


 過剰財政赤字苦しむEUでは、ユーロ参加国の財政規律を定めた「財政安定化・成長協定(SGP)」に違反した加盟国に対する罰則手続きがある(1977年6月締結)。「財政安定化・成長協定」では、ユーロ導入後のインフレ抑制のために、参加各国の財政赤字を対GDP比3%、政府債務残高を同60%以内に抑制することが定められている。しかし、その基準をクリアできず、EU経済財務相理事会が「過剰な赤字」と評価すれば赤字是正が勧告される。その後、更に「過剰な赤字」の解消に進展がないとみなされればペナルティー(罰金)が科される。ドイツフランスは、2002年以降3年連続でSGPに対する違反を続けた。その後、03年には欧州委員会による両国に対する「赤字削減の措置」の要請をめぐって委員会と理事会の対立が続いたが、05年3月の欧州理事会でSGPの見直しが行われ、上記の財政赤字規律の条件を超えても、「小幅かつ一時的」な場合、経済成長マイナスであれば過剰財政赤字とはみなされないことになった。このように財政規律が緩和されることについては、年金改革を迫られている東欧の新規加盟諸国にとってユーロ導入の追い風となるが、協定の骨抜きを懸念する声も強い。他方で、EUの中期財政見通し(07~13年)については論争が続いていたが、05年12月の欧州理事会で合意した(06年4月には20億ユーロ増額を決定)。加えて、英国への還付金減額とEUの歳出及び財源についての見直し決まった




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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