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NATO新戦略


 冷戦後のNATOの役割に関する合意。1991年戦略概念と99年新戦略がある。ワルシャワ条約機構(WTO)解体と同じ頃に開かれた91年11月のNATO首脳会議(ローマ)で、WTO軍を想定した大規模な脅威拡大ではなく、東欧・中東の不安定な地域情勢に対処するための危機管理型の緊急展開軍を重視する戦略を採択した。同時に旧ソ連・中東欧諸国との協力(北大西洋協力評議会〈NACC〉の新設)、西欧同盟(WEU)の役割強化と安全保障上の欧州の主体性などを確認した。99年新戦略は、コソボ紛争の最中に開催された99年4月のNATO創設50周年記念首脳会議で採択された。91年の戦略に代わるもので、(1)核兵器ミサイル・VXガス・細菌兵器などの大量破壊兵器の拡散防止体制の強化および国際的テロリズム・麻薬への国境を超えた協力対応体制の確立と平和維持、(2)地域・民族紛争に対処する能力および危機管理体制の一層の強化を求めたものだった。2002年11月の首脳会議(プラハ)では、2万人規模で5日以内に世界各地に展開可能な先鋭的な装備を施した対テロ緊急即応部隊(NRF)の創設が決定した。06年11月の首脳会議では、NRFの本格的な稼働の開始と共に、オセアニア、日韓を含む「グローバルパートナーシップ」が採択される予定。06年6月の国防相理事会では新防衛計画の指針を採択。平和維持や災害支援など2~3万人規模の兵力による小規模作戦を同時に6カ所で遂行できることになる。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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