慢性ヒ素中毒症

chronic disease by arsenic
長期間ヒ素を摂取することにより起こるヒ素中毒症。森永ヒ素ミルク事件、土呂久鉱毒事件、笹ケ谷鉱毒事件、茨城県神栖町(現・神栖市)の地下水汚染などがある。森永ヒ素ミルク事件は、1955年に森永乳業徳島工場で製造された粉ミルクを飲んだ西日本の人工栄養児138人が死亡し、約1万3000人以上がヒ素中毒症になった。原因は、粉ミルク安定剤の第二リン酸ソーダに不純物としてヒ素が混入していたためだった。土呂久鉱毒事件は、戦前から亜ヒ酸を製造していた宮崎県高千穂町の土呂久鉱山周辺の住民が慢性ヒ素中毒症になった事件。71年に地元の教師により発見され、約160人が第4の公害病患者に認定された。また、島根県津和野の笹ケ谷鉱山周辺でも約20人の患者が認定された。2003年に茨城県神栖町で飲料水に使っている井戸水から有機ヒ素化合物が検出され、住民が手足のしびれ、歩行障害、嘔吐などのヒ素中毒症になった。当初、原因は近くにあった旧日本軍の施設に廃棄された毒ガス兵器とされたが、不法投棄された高濃度の有機ヒ素化合物を含むコンクリート塊が、地下水をヒ素汚染したためだった。

![]() | 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14847067 |