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プライバシーの権利


 匿名性・無名性の高い都市型生活形態の進展や、マスメディアによる個人の私的情報の暴露という問題状況を背景として、憲法13条に基づき、「私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利」として登場した新しい人権の1つで、判例でも認められた(「宴のあと」裁判・1964年9月28日東京地裁判決、「石に泳ぐ魚」裁判・2002年9月24日最高裁判決)。最近では、高度情報社会の進展を背景として、自己情報コントロール権として主張する見解もあり、多様な内容を有している。プライバシー尊重に対する人々の関心が裁判にも反映され、その侵害に対して高額の損害賠償金が認められる傾向がある一方、それが表現の自由対する制約になることも懸念される。元外務大臣の長女の私生活を報じようとした「週刊文春」に対する出版禁止の仮処分申請に対しては、04年3月16日、東京地裁はこれを認めたが、同月31日、東京高裁はプライバシー侵害を認めつつも出版禁止は認めず、表現の自由は「憲法上最も尊重されなければならない権利」と位置づけた。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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