IT時代の選挙運動
日本におけるインターネットの普及率はめざましく、総務省によると2005年末には8720万人と、実に4人に3人がインターネットを利用すると推定されている。インターネットは従来の通信手段とは異なり、開かれたネットワークの下で、時間的にも地理的にも制約がなく、比較的安価に情報を発信・受信し得る手段である。現行の公職選挙法の下ではインターネットで文字等を用いて選挙運動に利用することは禁止されている。しかし、インターネットを選挙運動に導入することによって、候補者情報の充実、政治参加の促進、有権者と候補者との直接対話の実現、金のかからない選挙の実現、など計り知れない効果が期待できる。ただ、インターネットはこれまでにない新しい通信手段であり、これを公職選挙法の体系に持ち込むためには、技術的・制度的に解決しなければならない問題点も多い。制度化に向けた動きとしては、「IT時代の選挙運動に関する研究会」が01年9月、総務省内に設置され、選挙運動にインターネットを導入した場合の効果と問題点を議論し、02年8月、ホームページによる選挙運動は解禁すべきである、との結論に至り、報告書が提出された。しかし、自民党など政党側が消極的であったために法制化されてこなかった。05年総選挙で自民党が都市部の若い有権者の支持を集め圧勝した後、法案化に前向きに転じている。
| 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14847806 |