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小選挙区制


 選挙区とは、議員を選出するために地域を区分したもの。選挙区から議員が1人選出される場合に小選挙区と呼ばれ、議員定数分の選挙区ができる。小選挙区制の長所は、(1)多数派にアピールする中道的な政党の候補者が有利になり、穏健で安定的な二大政党制が出現しやすい、(2)有権者候補者の距離が近くなり、候補者関する情報が得やすい、(3)1つの政党から1人の候補者しか出ないので、中選挙区制のように同じ政党の候補者同士の戦いがなくなり、争点をめぐる政党間競争が行われる、などである。一方、短所は、(1)1選挙区から1人しか選出されないので、落選者に投じられた死票の割合が大きくなる、(2)少数派の意見が代表されにくく、小政党の存立がほとんど不可能になる、(3)有権者候補者の距離が近くなる分、腐敗選挙の可能性高まる、(4)多数政党に有利なように選挙区割りが行われる、いわゆるゲリマンダー可能性がある、などである。ゲリマンダーとは、1812年に米・マサチューセッツ州知事のエルブリッジ・ゲリー(Elbridge Gerry)が民主党に有利なように選挙区割りを行い、その選挙区の形が伝説上の動物、サラマンダーに似ていたことから、選挙区割りを特定の政党に有利なように行うことを、両者をもじってこう呼ぶようになった。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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