アルコール依存症

alcohol addiction
飲酒によって一時的に、不安や緊張感、気分の落ち込みなどが緩和されるが、次第に飲まずにはいられない精神状態になり、同じような酔いを得るための飲酒量が増大していく(耐性)。身に付いてしまった大量頻繁な飲酒を中止せざるを得なくなると、指が震えたり、不安や焦燥感に駆られたりし、ついには意識障害や幻覚が現れるようになる(離脱症状)。依存症者は肝臓の障害をはじめ、糖尿病、高血圧など身体上のリスクが高まり、酩酊による外傷、家庭生活の破綻、仕事上のトラブルなど、問題の範囲は極めて広い。配偶者や子供に長期にわたる精神的問題を引き起こすことも少なくない(アダルト・チルドレン)。治療は断酒以外になく、「適度な飲酒」はあり得ない。本人が問題を受け入れることが治療の第一歩で、長期のリハビリテーションを行う必要がある。離脱症状は薬物による治療が可能であり、治療のきっかけにもなる。飲酒行動のコントロールに終始すると家族も悪循環に陥ってしまうことが多いので、飲酒問題の責任を本人に直視させる環境づくりのためにも、グループによる支えが意味を持つ。自助グループへの参加、飲酒に関連する場所・人・状況を避けることが大切で、飲酒後に不快感を起こさせる薬剤も併用できる。

![]() | 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14848518 |