解離性障害

dissociative disorder
心的外傷体験の研究が進む中で、「解離」という心の防衛システムが注目されるようになってきた。辛すぎる体験を前にすると、体験している自分自身から感情を切り離す。その結果、外傷体験から心理的に逃避できても、自己の統一性を犠牲にする場合があり、意識や記憶の連続性に問題が生じる。解離は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を始め他の障害とも関係が深いが、解離を中心とした障害としては、(1)解離性健忘=ストレスの強い重要な個人的記憶が失われる、(2)解離性同一性障害=最も重症で慢性化する、(3)離人症性障害=自分の身体や自己自身に対する非現実感を反復的に持ち、外界の現実感が薄れたりする、(4)解離性遁走=住み慣れた家や仕事から離れて突然放浪に出て、自己の同一性に関する記憶喪失を伴う、など。心的外傷を負った少年たちが、感情が解離した時に万引きや器物破損、残忍な行動などの問題を起こすという指摘もある。

![]() | 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14848521 |