キリスト教

Christianity
キリスト教は、イエスを救世主として信じる宗教である。キリストとは、「油を注がれた者」という意味のヘブライ語「メシア」のギリシャ語訳で、「救世主」を指す。それが次第に、イエス・キリストという固有名詞として使われるようになった。紀元1世紀、ローマ帝国支配下で圧迫され、救世主を待望していたユダヤ民族の前にイエスが現れ、救世主と信じられるようになる。イエスは、厳しい戒律にしばられ、ユダヤ民族のみを救いの対象とするユダヤ教を批判し、唯一の神を信じる者は誰でも救われることを説いた。しかし、次第に拡大していくイエスの改革運動は、保守的なユダヤ教徒やローマ帝国にとって脅威となる。そして紀元30年頃、イエスはいくつかの罪状を背負わされ、十字架の上で処刑され、その3日後によみがえったと伝えられる。イエスの死後、弟子たちによって教団が組織化され、紀元2世紀頃に聖典である『新約聖書』の原型が成立する。その後、4世紀にキリスト教がローマ帝国の国教となったのを契機に、広い地域に浸透していく。11世紀には、東の東方正教会(ギリシャ正教)と西のローマ・カトリック教会に分裂、16世紀には、宗教改革でローマ・カトリック教会の中からプロテスタントが生まれた。

![]() | 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14849470 |