宇宙原理
【ウチュウゲンリ】

cosmological principle
宇宙にはどこにも特別な場所がなく(一様性)、どの方向にも特別な方向がない(等方性)という要請(原理として認められること)。アインシュタインが1917年、一般相対性理論に基づいて宇宙モデルを作る際、これらの空間の性質に加えて「宇宙は時間的にも変わらない(定常性)」を要請した。定常性まで含めた要請を完全宇宙原理という。その後、観測による29年の宇宙膨張の発見により、定常性の要請は不要となった。現在では空間の一様・等方性は、宇宙マイクロ波背景放射の観測や銀河の3次元的な分布の観測から検証されている。一様・等方な空間は曲率(空間の曲がり具合)の大きさがいたるところ一定で、その符号により3つに分類される。(1)曲率がゼロの空間は平坦な空間、(2)正なら有限で境界のない閉じた空間、(3)負なら無限に広がった開いた空間である。同じ半径の球の体積は、(2)→(1)→(3)の順に増す。これに対応し、それらの空間をもつ宇宙を平坦な宇宙、閉じた宇宙、開いた宇宙という。WMAPの観測から、宇宙は平坦な宇宙であると考えられている。

![]() | 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 4390998 |