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官僚制
【カンリョウセイ】


bureaucracy

 今日、官僚制組織は、社会のあらゆる大規模組織にみることができる。もともと、この言葉は、事務局ないし書記局の支配を意味しており、西欧諸国においてこの言葉の登場をみたのは18世紀から19世紀にかけてである。「官僚」は、一種のカース・ワード(呪い言葉)であって、良い意味で使われたのではない。ドイツの社会学者M.ウェーバーは、官僚制が純粋技術的に卓越した組織であり、合理的性格を備えているとして、(1)規則による規律の原則、(2)明確な権限の原則、(3)明確な階統構造の原則、(4)行政手段の分離の原則、(5)文書主義の原則、(6)任命制の原則、(7)資格任用制の原則などに、その構造的特質を指摘した。こうした官僚制は、法による支配を的確に実現していく装置であるとされた。現代の国家は巨大な行政官僚制組織を有し、官僚制による問題の発見、政策の立案、実施を中心に運営されている。専門的知識と技術を備えた官僚制は、現代国家に不可欠であるが、これが発達すればするほど、政治によるコントロールが難しくなるという問題も抱えている。また、官僚制ウェーバーのいうように合理的性格を備えているとしても、しょせん「生身」の人間からなる組織であり、生理と病理を併せ持っている。したがって、組織原則に忠実であればあるほど、訓練された技能が現実への柔軟な対応を欠くことがある。さらには、法規万能や対応の横柄さといった問題を引き起こすことがある。こうした病理現象を官僚制の「逆機能」(dysfunction)という。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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