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バレエ鑑賞のための基本用語
【バレエカンショウノタメノキホンヨウゴ】


▼ガラ[gala(仏)]
元はフランス語で「特別な催し」「社交界のお祭り」の意。従ってバレエ・ガラといえば特別バレエ公演。大勢のスター・ダンサーが競演し、それぞれソロやパ・ド・ドゥを披露する。
▼エトワール/プリマ/プリンシパル/ソリスト/コール・ド・バレエ
[(e)toile(仏)/prima(伊)/principal/soliste(仏)/corps de ballet(仏)]
多くのバレエ団では階級制が敷かれている。国によって呼称が違うが、大雑把にいうと、主役を踊るダンサーたちを英語では一般にプリンシパル(フランスでは男性はプルミエ・ダンスール[premier danseur]、女性はプルミエール・ダンスーズ[premi(e)re danseuse])、それに準ずる脇役としてソロやパ・ド・トロワなどを踊るダンサーたちをソリスト(パリ・オペラ座ではシュジェ[sujet])、それ以外のダンサーたちをコール・ド・バレエという(コールは「隊」の意)。パリ・オペラ座ではプリンシパルの中でも特に花形ダンサーだけがエトワール(星)という階級に属する。また一般に、女性プリンシパルをプリマ・バレリーナ(prima ballerina)と呼ぶこともある(プリマドンナとは呼ばない)。プリンシパルとソリストをまとめてソリストと呼ぶカンパニーも少なくない。ちなみにバレリーナという呼称も、トップ・クラスの女性ダンサーのみを指す呼称である。
▼パ・ド・ドゥ/デュエット
[pas de deux(仏)/duetto(伊)]
男女のペアで踊る一組のまとまったダンス。グラン・パ・ド・ドゥとも呼ばれる。最初のアントレ(entr(e)e)とアダージョ(adagio)では男性にサポートされて、女性が美しいポーズを披露する。続く男性バリアシオン(variation)、女性バリアシオンでは、男女がそれぞれ男性的・女性的なソロを見せる。最後のコーダ(coda)では男女がそれぞれ難度の高い技術を披露し、派手に終わる。「白鳥の湖」の中にある「黒鳥のパ・ド・ドゥ」や「ドン・キホーテ」のパ・ド・ドゥなどのコーダでは、女性が32回フェッテ(片足を軸に、もう一方の足を蹴り上げながら連続回転する)を見せる。男女のペアによるダンスは、この形式に従わないものでもパ・ド・ドゥと呼ばれることもあるが、一般にはデュエットと呼ぶ。同性ペアの場合も同様である。
アラベスク[arabesque(仏)]
元来は「アラビア風(の唐草模様)」を指す。片足で立ち、もう一方の足を後方に真っすぐ伸ばすポーズ。手と上半身の位置によって数種類ある。バレエにおいて最も美しいとされる形。
▼チュチュ[tutu(仏)]
元来はフランスの幼児語で「お尻」のこと。バレエではスカートのことを指す。空気をはらむように、薄いモスリンなどの布を何枚も重ねて作る。ロマンティック・バレエ時代のチュチュは紡錘型でふくらはぎまでの長さがあったが(これをロマンティック・チュチュと呼ぶ)、クラシック・バレエ時代にはぐっと短くなって腰から水平に張り出すようになる(クラシック・チュチュ)。
▼ポワント[pointe(仏)]
元来は爪先のこと。バレエでは爪先立ちのことをシュル・ラ・ポワント(sur la pointe)、略してポワントという。これこそがバレエの最大の特徴である。誰がどこで始めたのかは不明だが、1810年代のヨーロッパだと考えられている。有名なバレリーナ、マリー・タリオーニが「ラ・シルフィード」(1832年)というバレエで多用して以後、女性ダンサーたちがこぞって真似するようになり、やがて女性バレエ・ダンサーの必須条件となった。男性は決してやらないが、身体構造的にできないわけではなく、単純に美学的な理由による(男のポワントは美しいとは見なされなかった)。
▼マイム[mime]
パントマイム、つまり身ぶり手ぶりのこと。古典バレエでは一切台詞が使われないので、マイムが言葉の代わりとなる。宮廷人のしぐさがもとになっている。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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