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佐保姫
【さおひめ】


 春をつかさどる女神。人には姿は見せず、天地万物の春色を織りなすと伝えられる。ウグイスの鳴き声が、佐保姫の笛にみたてられることもある。
 中国の五行説では、春は東に配当されることから、平城京の東にある佐保山を神格化したものといわれる。同様に五行説の秋は西に配当されることから、平城京の西に位置する竜田山が神格化され、秋色は竜田姫が織りなすという伝説が生まれた。
 和歌や謡曲『佐保山』にも登場するが、地域限定の女神であったためか、一般にはあまりなじみがない。日本において季節の女神は珍しいだけに残念なことである。




日本実業出版社
「暦の雑学事典」
JLogosID : 5040119