寒露
【かんろ】
二十四節気の一つ。一〇月九日頃。よく晴れた夜は、放射冷却によって大地が冷え込み、とりわけ風のない日は地表付近の水蒸気が凝結して、草木の葉などに露を結ぶ。白露(九月八日頃)の候よりも、明け方の気温が下がり、露も冷たさを増すので寒露という。霜となる寸前の露である。
「露も」「露ほども」という古語は、「少しも……ない」という否定の意味をもっている。また、はかない人生や生命を、日が昇るにつれ消え去る露にたとえて、「露の身」「露の命」などという。早朝の野を歩くと、ツユクサ(露草)の鮮やかな藍色がまぶしいぐらいに目を射る。ツユクサの花汁は衣服の染料としても用いられたが、退色しやすいことが名の由来ともいわれる。
| 日本実業出版社 「暦の雑学事典」 JLogosID : 5040174 |