細か
【こま-か】

<形動>[ナリ]なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ
[1]非常に小さい。こまごましている。微細だ。
[例]「さるこまかなる灰の、目鼻にも入りて」〈源氏・真木柱〉
[訳]「そのような(香炉の)微細な灰が、目と鼻にも入って」
[2]くわしい。詳細だ。
[例]「『こまかにはみづから』と書きて」〈大鏡・伊尹〉
[訳]「『くわしくは私自身から(申し上げます)』と書いて」
[3]配慮が行き届いている。念入りだ。綿密だ。
[例]「後(のち)のわざなどにもこまかにとぶらはせ給ふ」〈源氏・桐壺〉
[訳]「(亡き桐壺(きりつぼ)の更衣(こうい)の)仏事などにも(帝(みかど)は)念入りに(=ねんごろに)ご弔問(ちょうもん)なさる」
[4]愛情がこまやかだ。親密だ。
[例]「子ある仲なりければ、こまかにこそあらねど、時々ものいひおこせけり」〈伊勢・九四〉
[訳]「子供ができた関係だったので、親密ではないけれども、折にふれて(男は)手紙をよこした」
[5]細かいところまでよくできている。精巧だ。きめが細かい。また、繊細で美しい。
[例]「御設(まう)けの御調度(てうど)のこまかなるきよらども加へさせ給ひ」〈源氏・行幸〉
[訳]「(貴族の女性の成人式である裳着(もぎ)の)ご準備のお道具の、精巧で華麗な品々をお加えになられて」

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5078042 |