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苦し
【くる・し】


[形][シク](しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ


[1](体が痛くて、あるいは心に悩んで)つらい。苦しい。
[例]「翁、心地悪しくくるしきときも、この子を見れば、くるしきこともやみぬ」〈竹取・かぐや姫の生ひ立ち〉
[訳]「竹取の翁は、気分が悪くつらいときも、この子(=かぐや姫)を見ると、つらいことも終わった」
[2]いやな感じだ。不快だ。見苦しい。
[例]「前栽(せんざい)の草木まで心のままならず作りなせるは、見る目もくるしく、いとわびし」〈徒然・一〇〉
[訳]「庭の植え込みの草や木まで自然の成り行きのままではなくことさらに作り上げているのは、見た目もいやな感じで、本当に興ざめだ」
[3]心配だ。気がかりだ。
[例]「人や見つけんとくるしきを、女はさも思ひたらず」〈源氏・紅葉賀〉
[訳]「(光源氏が)だれかが(源典侍(げんのないしのすけ)と話しているのを)見つけるのではないだろうかと気がかりなのに、女(=源典侍)はそうは思っていない」
[4]〔多く、打消や反語の表現を伴って〕不都合だ。さしさわりがある。
[例]「鳶(とび)のゐたらんは、何かはくるしかるべき」〈徒然・一〇〉
[訳]「鳶がとまっているとしても、どうしてさしさわりがあるはずがあろうか(いや、ない)」




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5078600