自ら
【みづから】

<一>[名]<二>[代][人称代名詞・自称]<三>[副]
みづから【自ら】(ミズカラ)
<一>その人自身。自分自身。自分。
[例]「頼む方なき人はみづからが家をこほちて、市に出(い)でて売る」〈方丈〉
[訳]「生活する手段のない人は、自分の家をこわして(たきぎにして)、市場に出て売る」
<二>私。古くは男女ともに用いたが、近世以降は女性のみが用いるようになった。
[例]「みづからは、九重(ここのへ)の内に生(お)ひ出(い)で侍りて、世の中のありさまも知り侍らず」〈源氏・少女〉
[訳]「私は、内裏(だいり)の中で育ちましたので、世の中のようすも知りません」
<三>自分自身で。自分から。自分から進んで。
[例]「いみじかりし賢人・聖人、みづから賤(いや)しき位にをり、時にあはずしてやみぬる、また多し」〈徒然・三八〉
[訳]「すぐれた賢人や聖人が、自分から進んで低い地位にいて、その時代の風潮に合わずに終わってしまったことも、また多い」

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5079796 |