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起こす
【おこ・す】


[他][サ四]さ/し/す/す/せ/せ


[1](横になっているものを)立てる。立たせる。
[例]「◎梓弓(あづさゆみ)末(すゑ)振りおこし投矢(なげや)持ち千尋(ちひろ)射渡し」〈万葉・一九・四一六四・長歌〉
[訳]「◎梓の木で作った弓の上端を振り立てて、投げ矢(=手で投げる矢)で遠くまで射渡して」
[2](眠りから)目ざめさせる。
[例]「なおこし奉りそ」〈宇治拾遺・一・一二〉
[訳]「お目ざめさせ申し上げるな」
[3](炭などに火を)つける。発火させる。火気を盛んにする。
[例]「いと寒きに、火など急ぎおこして」〈枕草子・春はあけぼの〉
[訳]「(朝早くの)たいそう寒いときに、火などを急いでつけて」
[4]((「興す」とも書く))(衰えたものを)再び盛んにする。再興する。
[例]「◎古(いにしへ)のことをも忘れじ、古(ふ)りにしことをもおこし給ふとて」〈古今・仮名序〉
[訳]「◎昔のことをも忘れまい、(また)古くなってしまったことをも再び盛んにしなさるというので」
[5](心を)奮い立たせる。
[例]「いといみじく心苦しければ、心をおこして祈りきこゆ」〈源氏・若菜・下〉
[訳]「(高僧たちが、光源氏を)本当にたいへん気の毒に思うので、心を奮い立たせてご祈祷(きとう)申し上げる」
[6](ある気持ちや感情・欲望などを)生じさせる。
[例]「よしなき心をおこすべからず」〈今昔・三〇・九〉
[訳]「よくない心を生じさせてはならない」
[7](ある事態や騒動・反乱などを)引き起こす。始める。(ある事を)新たに始める。
[例]「今年いかなる心にて、謀叛(むほん)をばおこしけるぞといふに」〈平家・四・競〉
[訳]「今年どのような考えで、謀反(むほん)を起こしたのかというと」
[8](版木に)彫る。出版する。




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5082175