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36

自ら
【おの-づ-から】


[副]

おの-づ-から【自ら】(オノズ―)
そのもの自身の意の代名詞「おの」に「の」の意の上代の格助詞「つ」が付き、さらに性質の意を示す「から」が付いてできた語。自分の意志からではなく、自然に行われていくようすを表す。同じ漢字を用いる「みづから」は「身つから」が語源であり、こちらは自分の意志から行う意を表す。


[1]ひとりでに。自然に。
[例]「よき人の物語するは、人あまたあれど、ひとりに向きて言ふを、おのづから人も聞くにこそあれ」〈徒然・五六〉
[訳]「教養あるりっぱな人が物語をするのは、人が多くいても、その中の一人に向かって言うのを、自然に他の人も聞くのである」
[2]偶然に。たまたま。まれに。
[例]おのづから人の上などうちいひそしりたるに」〈枕草子・はしたなきもの〉
[訳]たまたま他人の身の上など悪口を言ったりしたのを」
[3]〔下に仮定表現を伴って〕もしかすると。ひょっとしたら。万が一。
[例]おのづから後(のち)まで忘れぬ御事ならば」〈平家・一・祇王〉
[訳]万が一、後々まで(私を)忘れないお考えならば」




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5082405