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16

凄し
【すご・し】


[形][ク](く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ

もともと自然現象や風景の寒々としたもの寂しさから受ける、ぞっとするような感じを表す語。


[1]ぞっとするほど恐ろしい。
[例]「あられ降り荒れてすごき夜のさまなり」〈源氏・若紫〉
[訳]「霰(あられ)が荒々しく降って、ぞっとするほど恐ろしい夜のありさまである」
[2]ひどく寂しい。寒々している。
[例]「浅茅(あさぢ)が原もかれがれなる虫の音(ね)に、松風すごく吹き合はせて、そのこととも聞き分かれぬほどに」〈源氏・賢木〉
[訳]「茅(ちがや)の原も枯れ(その中から聞こえる)かすれた虫の鳴き声に加え、松風がひどく寂しく吹き、松を鳴らす風の音と聞き分けられないくらいに」
[3]恐ろしいほどすぐれている。恐ろしいほどすばらしい。
[例]「琴(こと)に打ち合はせたる拍子も、鼓を離れてととのへとりたるかた、おどろおどろしからぬも、なまめかしくすごうおもしろく、所からはまして聞こえけり」〈源氏・若菜・下〉
[訳]「和琴(わごん)に合わせた拍子も、鼓を使わずに調子をうまくととのえた趣が、おおげさなところがないのが、優雅で恐ろしいほどすばらしく趣があり、場所(=住吉神社)が場所なのでいっそうすばらしく聞こえた」




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5086458