過ごす
【すご・す】

[他][サ四]さ/し/す/す/せ/せ
((「すぐす」の変化した語))[1]時がたつのにまかせる。月日を送る。
[例]「『かならず心まとはし給はんものぞ』と思ひて、今まですごし侍りつるなり」〈竹取・かぐや姫の昇天〉
[訳]「『きっとお心を迷わせ乱しなさるもの』と思って、今まで月日を送って参りました」
[2]生計を立てる。暮らす。また、養う。
[例]「わごぜたちは年若ければ、いかならん岩木のはざまにても、すごさん事やすかるべし」〈平家・一・祇王〉
[訳]「あなたたちは年が若いから、どんな(に都から離れた不便な土地の)岩や木の間でも、暮らすことはたやすいだろう」
[3]通り過ぎさせる。やり過ごす。
[例]「さきに出(い)でたれば、すごしたてて、太刀を抜きて打ちければ」〈宇治拾遺・一一・八〉
[訳]「(走る勢いで止まれずに)前に出たので、やり過ごしてから、刀を抜いて切ったところ」
[4](物事を)終わらせる。済ます。
[例]「えさらず思ふべき産屋(うぶや)のこともあるを、これすごすべしと思ひて」〈蜻蛉・中〉
[訳]「避けられない産室のこと(=出産)もあるので、これを(まず)終わらせ(てからにし)ようと思って」
[5]度を過ごす。

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5086460 |