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鈴虫(すずむし)の 声(こゑ)の限(かぎ)りを 尽(つ)くしても 長き夜あかず ふる涙かな
【すずむしの】


〔〔和歌〕〕〈源氏・桐壺〉
[訳]「鈴虫のように声の限り泣き尽くしても、なかなか夜の明けぬ秋の長夜(ながよ)も飽き足りないほど、雨となってとめどもなく降りそそぐ涙ですこと」
<参考>桐壺(きりつぼ)の更衣(こうい)の死後、帝の命を受けて更衣の母を弔問した靫負命婦(ゆげいのみょうぶ)が帰参しようとして詠んだ歌。果てしなく流れ落ちる涙の比喩の「降る」にかけた「振る」は、「鈴虫」の「鈴」の縁語。「明かず」に「飽かず」をかける。




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5086510