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玉ゆらの 露も涙も とどまらず 亡き人恋ふる 宿の秋風
【たまゆらの】


〔〔和歌〕〕〈新古今・哀傷・七八八・藤原定家(ていか)〉
[訳]「少しの間さえ、露も涙もとどまることなくこぼれる。亡くなった母を慕うこの家に秋風が吹いてくると(露も涙も散らすので)」
<参考>「玉ゆら」は少しの間の意。「露」「涙」は「玉」の縁語。「露も」には、少しもの意の副詞「つゆも」がかかる。母の美福門院加賀(びふくもんいんのかが)を亡くした建久四(一一九三)年の秋、野分(のわき)の日に母が住んでいた父の俊成の家に行き、詠んだ歌。本歌「◎暁の露は涙もとどまらで恨むる風の声ぞ残れる」〈相模(さがみ)集・一九九、新古今・秋上・三七二・相模〉[訳]「◎暁におく露はもちろん涙もとどまらず、(夜中から吹いている)恨むような風の音がいまだに聞こえてくる」。




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5087482