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後ろ
【うしろ】


[名]


[1]後方。背後。
[例]「みなうしろを見返りて」〈徒然・四一〉
[訳]「全員が後方を振り返って」
[2]背。背中。
[例]「廂(ひさし)の柱にうしろを当てて、こなた向きにおはします」〈枕草子・淑景舎〉
[訳]「(関白の藤原道隆(みちたか)は)廂の間(ま)の柱に背中をつけて、こちらを向いていらっしゃる」
[3](物の)裏側。物陰。
[例]「ここかしこの物のうしろなどにぞさぶらふ」〈源氏・賢木〉
[訳]「あちこちの何かの物陰などにお控え申し上げる」
[4]後ろ姿。
[例]「目には見えぬものの、戸を押し開けて、御うしろをや見まゐらせけん」〈大鏡・花山院〉
[訳]「(人の)目には見えないものが、戸を押しあけて、(天皇の)お後ろ姿を見申し上げたのだろうか」
[5]着物の裾(すそ)。下襲(したがさね)の後ろの裾。
[例]うしろをまかせて、御前(おまへ)のかたに向かひて立てるを」〈枕草子・よろこび奏するこそ〉
[訳]下襲の後ろの裾を長く引いて、玉座の方に向かって立っているよ」
[6](時間的な)後(あと)。以後。将来。特に、死後。
[例]「亡からんうしろにも、この勘事(かうじ)許されたらんなむ」〈源氏・柏木〉
[訳]「(私が)死んだでも、この(光源氏の)おとがめが許されたとしたら」




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5089301