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うるさ・し
【うるさ・し】


[形][ク](く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ

もともとわずらわしく不快である意を表す。[3][4]はすぐれている・賢い意の「うるせし」との混同によって生じたともいわれる。現代語のやかましい意として用いるのはまれである。


[1]わずらわしい。やっかいだ。
[類]難(むつか)し
[例]「かやうなる女・翁(おきな)なんどのふるごとするは、いとうるさく聞かま憂きやうにこそ覚ゆるに」〈大鏡・道長・下〉
[訳]「このようなばあさんやじいさんなんかが昔話をするのは、非常にわずらわしく、聞くのが不愉快なように思われるが」
[例]「歯黒め、さらにうるさし、きたなし、とて、付け給はず」〈堤中納言・虫めづる姫君〉
[訳]「お歯黒は、もちろんやっかいだ、見苦しい、と言って、おつけにならないで」
[2]わざとらしい。いやみだ。
[例]「みぐるしとて、人に書かするは、うるさし」〈徒然・三五〉
[訳]「(自分の字が)みっともないといって、人に書かせるのは、いやみだ
[3]細かいところによく気がつく。
[例]「いとうるさくてさぶらひし宿りにまかりて」〈大鏡・道長・下〉
[訳]「(父は)非常に細かいところによく気がつきました(親切な)宿泊所に参りまして」
[4]すぐれている。りっぱだ。巧みだ。
[例]「棚機(たなばた)の手にも劣るまじくその方も具して、うるさくなん侍りし」〈源氏・帚木〉
[訳]「(裁縫にかけては)織姫の腕前にも劣りそうもないくらい、その(染色や裁縫の)技量も備えていて、巧みでございました」
[例]「『いふかひあるかたの、いとうるさかりしものを』など」〈源氏・鈴虫〉
[訳]「『(柏木(かしわぎ)は)言うだけの価値のあることとなると、非常にすぐれていたのに』と」




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5111570