わたら-せ-たま・ふ
【わたら-せ-たま・ふ】

わたら-せ-たま・ふ【渡らせ給ふ】(―タマ(モ)ウ)
((動詞「わたる」の未然形+尊敬の補助動詞「す」の連用形+尊敬の動詞「たまふ」))<一>
[1](「渡る」、また「行く」「来(く)」の尊敬語)おいでになる。お行きになる。
[例]「大きに腹立たせ給ひて、『わたらせたまへ』と申させ給へば」〈大鏡・師輔〉
[訳]「(皇后は)ひどくお怒りなさって、(天皇に)『(私の所へ)おいでになってください』と申し上げさせなさったので」
[2](中世以降、「あり」「居(を)り」の尊敬語)おありになる。おいでになる。
[例]「主上(しゅしゃう)ことなる御つつがもわたらせたまはぬを、おし下したてまつり」〈平家・四・厳島御幸〉
[訳]「高倉天皇は特にご病気もおありにならないのに、(平清盛は)強いてご譲位させ申し上げて」
<二>(中世以降、補助動詞「あり」の尊敬語)…ておいでになる。…ていらっしゃる。
[例]「したには法皇のいつとなう鳥羽殿におしこめられてわたらせたまふ」〈平家・四・厳島御幸〉
[訳]「内心では後白河法皇がいつまでと期限もなく、鳥羽殿に押しこめられていらっしゃることについて」

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5111831 |





