試合中に相手を殺してしまったらどうなる？

①傷害致死罪
②業務上過失致死罪
③無罪





正解は③です。
二〇〇二年三月のこと。ボクシング日本フライ級一〇位の伊礼喜洋（いれいよしひろ）選手が試合後に倒れ、翌月死亡するという事故が起きました。
日本ボクシングコミッションの調べによると、今まで日本国内で行われたボクシングの試合で死亡したのは、伊礼選手をはじめ三五名にのぼるそうです。
また、プロレスの試合でも九七年にプラム麻里子さんが頭を強打して死亡する事故がありました。
公の場所で人を殺せば、当然ですが罪に問われます。しかし、ボクシングのようにスポーツの試合中もしくは試合が原因で相手が死亡した場合には、罪には問われません。
「テメエ、ぶっ殺してやる！」プロレスなどではこのような台詞（せりふ）を吐いて相手に挑みかかることがあります。こんな場合にも、よほど常識外れなことをしないかぎりは罪には問われません。
これは、ボクシングやプロレスの試合で人を殴るのは正当業務行為と考えられているからです。刑法は違法行為を罰するための法律ですから、正当な業務を罰することはできないのです。
ちなみにこれは、医師が手術のために患者の体をメスで切っても傷害罪が適用されないのと同じ理屈というわけ。

角川学芸出版 「花マル雑学塾」 JLogosID : 5145044