過剰な敬語は耳障りになる

敬語の使い方はむずかしいものですね。立場や人間関係を把握した上で尊敬語と謙譲語、丁寧語を使い分けなければならない日本語の敬語は、たしかに堅苦しくてむずかしいと感じると思います。
敬語を使い慣れない人がよく間違えるのが、過剰な敬語です。
「○○さんがおみえになられました」とか、「お召し上がりになられましたか」というのは、どこかおかしいと思いませんか。丁寧に話そうとして、敬語をたくさん使ってしまうのかもしれませんが、これではかえって聞きにくく、失礼になります。
「○○さんがおみえになりました」「召し上がりましたか」が正しい表現方法です。
「れる」「られる」を付ければ敬語になると考えて、何かに付けて使うケースが多いようです。動詞に付けるだけでいいので、比較的簡単に使えるのが原因なのかもしれません。
しかし食事のとき「○○はいただかれましたか?」はおかしな表現です。「いただく」は「食べる」の謙譲語ですから、自分が食べるときに使う言葉です。「れる」を付けたことで敬語になったような錯覚を起こしてしまうのかもしれませんが、間違った使い方です。「食べる」の尊敬語は「召し上がる」ですので、この場合は「○○は召し上がりましたか?」といわなければなりません。
丁寧に話そうとするあまり、つい使ってしまいがちですが、その気持ちが伝わらないばかりか、耳障りで相手に不快感を感じさせてしまうこともありますので気をつけましょう。

![]() | 角川学芸出版 「社会人のマナー188」 JLogosID : 5190158 |