「みんな、そういっているわ」は無責任な表現

「……とみんないってます」とか「みんながそう思っています」「みんなが困っているんですから……」などと、“みんな”を主語にして話すクセのある人がいます。
こういう表現をする人は、いうまでもなく、本当は「自分がそう思っている」のです。でも、「自分は……」といいきるだけの自信や責任感がないので、「みんなが」といって、自分の考えを正当化しようとするわけでしょう。
そのうえ、もし、攻撃されたり、反撃されたときは、「私の意見だというわけではない。みなの意見なのだ」といって逃げられる、という思いも込められています。つまり、一種の逃げ口上でもあるわけで、責任感の乏しい表現だといわれても仕方がありません。
こういう言い方をしているかぎりは、社会人としてはもちろん、友だちにも、一個の人格の持主と認めてもらえません。
“みんな”ではなく、“私”を主語にして、話すように努力し、自分を打ち出したほうが、強い人間関係を育(はぐく)んでいけるはずです。

![]() | 角川学芸出版 「社会人話し方マナーとコツ」 JLogosID : 5200085 |