「やせた」「太った」を話題にしない

ダイエットブームを反映してか、久しぶりに会うと、「ちょっと太った?」とか「やせたでしょう。どうやってダイエットしたの」など、太った、やせたを気軽に口に出す傾向が目立ちます。
とくに女性の間では、「やせた?」は一種のほめ言葉になっているくらいです。
ある女性がこう話していました。久しぶりに出会った知り合いに、「すっかりスマートになってよかったわね」といったのだそうです。彼女は「ちょっと病気しちゃって」とほほえむだけだったとか。ところが、しばらくして、彼女の訃報(ふほう)が届いたのだそうです。後でわかったことですが、彼女が出会ったころ、ガンの勢いが止められなくなっていて、彼女自身、それをすべて知っていたということでした。
「もともと、太り気味の人だったので、『やせた』はほめ言葉だと思い込んでいたんですね」
彼女に悪気がなかったことはたしかです。でも、「太った」「やせた」をあまりにも気軽に口にしすぎる傾向があったようです。
こうした例もないわけではありません。「太った」「やせた」などの変化は、「ダイエットに成功したの」のように本人が口にしたら、初めて、「がんばったじゃない。どんな方法を使ったの? 私にも教えて!」などと大いに話題にのせるようにしましょう。

![]() | 角川学芸出版 「社会人話し方マナーとコツ」 JLogosID : 5200111 |