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心の中にある絵をしばらくの間逆さまに懸けてみるのは常にいいことだ


【名言名句】
心の中にある絵を
しばらくの間逆さまに懸けてみるのは常にいいことだ

【解説】

 一枚の絵を常に同じ角度で見ていることは、固定観念につながる。固定観念にとらわれると思考がこう着状態におちいって、物事を柔軟にとらえたり、新しい発想を試みたりするはたらきが鈍ってしまう。
 そこで、絵を逆さまにかけて見てみようというのだ。見慣れていたはずの絵が、全く違う姿を現す。おそらくそれは新鮮な驚きであり、新しい発見だろう。新しい美。新しい価値。それまで正しいと信じて疑わなかったことへの疑問をもつことになるかもしれない。別の真実が見えてくるかもしれない。
 そういう感覚を体験することは大切である。それは思考力や感覚を鍛え、視野を広げてくれるだろう。あたりまえだ、と思っていることこそ、ひっくり返して見てみよう。
【作者】ヘルマン・ヘッセ
【生没年】1877~1962
【職業】ドイツの作家
【出典】『ウィルヘルム・シェーファーの一主題の変奏曲』
【参考】ヘッセは周囲の期待にしだいに押しつぶされていく少年を描いた自伝的小説『車輪の下』で知られている。この小説の主人公のハンスは押しつぶされたあげくに自殺してしまうのだが、ヘッセ自身は母親のおかげで立ち直ることができたという。ヘッセの母は息子の心の中にある絵をそっと逆にかけてみたのかもしれない。




あすとろ出版
「名言名句の辞典」
JLogosID : 5450470