川村
【かわむら】
(近代)明治初年~明治26年の村名。余市郡のうち。江戸期のヨイチ・モイレなどからなる。はじめ開拓使の管轄,明治15年札幌県,同19年からは北海道庁に所属。後志(しりべし)地方北東部,日本海(余市湾)沿岸の余市川河口流域。地名は,江戸期ヨイチ場所の中心地がヨイチからモイレに移り,モイレがヨイチとも呼ばれるようになると,河口部のヨイチがヨイチ川・ヨイチベツと称するようになり,このヨイチ(ヨイチ川)を中心にのちに当村が成立したことにちなむものか。安政4年土人人別書(林家文書)によれば,ヨイチ場所内のアイヌ住人84軒・469人のうち,川村に17戸・112人(男60・女52)の住人があった。なお,河口部からフンゴヘにかけてのヲタノシケ(浜中)には人家はなかった(西蝦夷日誌)。明治12年の開拓使文書余市郡略図に,大浜中の地名が記され,大川河口の両岸に川村の市街が描かれているのが初見。当時の川村は東川村61戸・西川村25戸があり,登川にかかる新開橋を通って黒川村へ行くなど余市川右岸の交通の要衝。同15年沢町学校川村分校設立,同16年大川小学校となる。同25年の学級数3・児童数151。明治20年質屋開業,同24年川村郵便取扱所(明治26年大川郵便取扱所)開局。明治17年の戸数150。同24年の戸数325・人口1,027(男514・女513),馬1,学校1(徴発物件一覧)。余市川を挟んだ沢町へは,官設の船で往来した。同26年大川町となる。
| KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7002373 |