宗谷港
【そうやこう】

稚内(わつかない)市の北東部にある避難港。宗谷岬のわずかに東方に位置する。「殖民状況報文北見国」には「海中岩礁アリソウヤト云フ……ソウヤノ名ハウエントマリニ移リ……岩礁ハ今弁天島ト称ス」とあるように，かつての宗谷港はソウヤ場所の中心地といわれた岬南西部の宗谷にあり，現在は第１種漁港となっている。現在の宗谷港は大岬の漁業集落にあることから，大岬港とも呼ばれ，古くは臼尻(うすじり)と称して小湾入をなしていた。「殖民状況報文北見国」にも「明治二十九年入港臼尻港ハ日本形船五隻，汽船八隻，風帆船二隻」とあり，汀線から約500mの幅で広がる波食棚の切れ目を澗として利用した。ニシン漁業の衰退後，沖合漁業への転換がなされたが，小型漁船の海難が相次いだことから，昭和11年に築設が開始され，同29年には避難港に指定された。わが国最北端の港湾であるが，波食棚を開削しているため入港船舶は20ｔが限度となっている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7004601