角川日本地名大辞典 北海道 北海道 27 遠浅【とあさ】 (近代)昭和32年~現在の早来(はやきた)町の行政字名。トアサ・ツワサとも書く。もとは早来村の一部,遠浅市街・遠浅市街地・遠浅市街予定地・遠浅市街予定区画地・遠浅・トアサ・アビラ・下安平・フモンケなど。かつて北海道炭礦鉄道室蘭線の遠浅停車場を中心に一般的に遠浅と呼ばれていた地域。地名はアイヌ語のトアサム(沼の奥の意),またはトサム(沼の端の意)が転訛したものという(北海道駅名の起源)。かつて市街地が遠浅沼の奥にあったためらしく,江戸期は松浦武四郎「西蝦夷日誌」「山川地理取調図」に「トアサトホ」と見え,沼を表わす。明治24年藪惣七が国有未開地227haの貸付けを出願,この時は勇払(ゆうふつ)郡植苗村字アビラと見え,トアサは沼名として見える。のち安平村の字遠浅となり,藪農場一帯は東遠浅となった。同26年藪農場を開設,同27年から石川県・福井県・富山県などからの小作人入植50戸(うち浄土真宗40・禅宗10),大正2年までに田39ha・畑38haを開墾(北海道農場調査)。明治28年旧札幌神社の古材で藪農場内に東遠浅八幡神社を創設。同32年藪惣七と住民の寄付により遠浅特別教授場を新設,のち遠浅尋常小学校,大正2年藪農場南部台地に移転。明治35年遠浅停車場が開業,同40年遠浅郵便局開局。同年大島清吉からの土地の寄付で遠浅神社を建立。馬車追い約30人が境内に馬頭観音を建立。大正3年の戸数99・人口496。同12年遠浅区と東遠浅区に分けられ,世帯数・人口は,昭和12年遠浅56・302,東遠浅67・458(早来町史)。昭和10年の遠浅市街の戸数72・人口361,職業別戸数商業3・工業2・農業40・交通運搬業10・その他17(同前)。大正13年頃から東遠浅の大島牧場地先に集乳所を設置,奈井江の森永練乳空知工場へ送乳。昭和5年滝川方面から酪農団体の入植があり,同8年遠浅チーズ工場(現在の雪印乳業遠浅工場)を設置。同年南部に日本キリスト教会遠浅教会設立。同9年藪農場など120haを小作人26人に開放。同47年の事業完成により遠浅川・フモンケ川下流湛水地帯・遠浅沼は干拓され,農耕地と苫小牧東部工業基地として利用される。遠浅駅北方に全国一の家畜市場と共進会場があり,出場頭数は同年7,834,同53年3万864,同57年3万7,140(昭和59年町勢要覧)。世帯数・人口は,昭和30年221・1,293,同40年235・1,055。同51年遠浅地区簡易水道完成,遠浅小学校新築。 KADOKAWA「角川日本地名大辞典」JLogosID : 7005352