早川
【はやかわ】

(近代)昭和10年～現在の行政字名。はじめ上ノ国村，昭和42年からは上ノ国町の行政字。もとは上ノ国村大字石崎村の一部。昭和６年石崎の佐藤新治が発見したマンガン鉱区を同14年登録し，今井石崎鉱山がマンガン採掘を開始，また，同年石崎の福原進吉らの鉱区を八田満次郎が譲り受け八田鉱山を創業した。前者は品質日本一の優良二酸化マンガン鉱を産出し，後者は産量日本一を誇る中外鉱業上国鉱業所として上ノ国の重要産業となった。戦後も朝鮮戦争を契機とする鉄鋼業界の復興とともに発展した。同27年両鉱山の廃液で石崎漁民との間に紛争が生じたため，ズリ捨場などが改良され，沈澱地が設置された。昭和15年早川小学校特別教授場設置，同25年早川分校若葉小学校となり，同31年には若葉小中学校校舎が落成した。同31年中外鉱業所に上国会館落成。昭和30年代の中外地区は，諸施設や社員厚生施設が完備され活気溢れる鉱山街を形成していたが，年々埋蔵資源の枯渇が表面化し，今井鉱山が閉山，無人と化し，今また円高不況の波の中で中外鉱山が閉山に追いこまれている。同37年僻地整備法の適用を受ける。世帯数・人口は，昭和26年今井地区75・377，中外地区197・1,136，同35年今井地区105・525，中外地区321・1,483，同45年今井地区14・37，中外地区305・1,085，同55年中外地区141・369。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7006871