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福山街道
【ふくやまかいどう】


松前街道ともいった。渡島(おしま)地方の城下町福山(現松前町)と箱館(現函館市)を結んだ街道。福山と箱館を結ぶ道路は,松前藩,幕府にとって,政治的・経済的に重要な役割を果たし,特に箱館への出入船の多くなった幕末には,松前藩にとってさらに重要な道路となった。街道は福山を発し,吉岡・福島を経て山道となり,知内(しりうち)から木古内(きこない)・上磯を経て箱館へと続いた。現在の国道228号のルートと類似するが,現在の松前町荒谷から福島町松浦に至る白神(しらがみ)岬を回る海岸道路はなく,当時は山越えのルートで,上磯町当別から茂辺地(もへじ)に至る道路や茂辺地から上磯に至る道路も海岸段丘上を通った。松浦武四郎の「初航蝦夷日誌」には,松前町大沢から松浦に至る峠について「茶屋峠此所順見使通行の時茶屋を架るなり……扨是より下ること凡十七,八丁,此道新古両道有。新道少し近し」とあり,松浦~吉岡間については「此間道甚よろし」とみえ,福島町の吉岡・白符(しらふ)・福島などには馬継所があった。また福島~茶屋峠間については「此所にては松前より箱館え行もの是非一宿致すこと也。此村を越て知内迄七里の山越し一ノ渡りに茶屋壱軒有のみ也」,上磯町当別~茂辺地間について「坂有。上りて平野也。凡十七,八丁四方の平地」と述べている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7007424