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増毛山道
【ましけさんどう】


雄冬山道ともいった。留萌(るもい)地方増毛町大字別苅村と石狩地方浜益村字幌を結んだ道路。江戸末期に開削された。明治14年の駅程表によると延長9里23町(北海道交通史)。「増毛町史」では「この山道がいくらか面影を留めていたのは大正8年頃迄」とあるが,5万分の1地形図では,昭和33年測図や,それ以前のものには記載される。この山道は終始尾根伝いに走ることが特色で,別苅から南南西に進み天狗山東方の武好(ぶよし)駅逓を経て標高606.67mの武好橋に至る。この付近から真南に方向を転じ,雄冬(おふゆ)山の東方をたどり,増毛町・浜益村境界の浜益御殿(1,038.6m)に達する。浜益村に入り再び南南西に向かって下降し,浜益村幌に至る。浜益から増毛に至る沿岸は「北海道七険の一にして,往古夷地第一の要害と称す」(地名辞書)といわれる雄冬岬を経るもので,冬季は舟行も不能となる。峠道も標高900~1,000m級の山越えとなり「只山猟の土人のみ山脈を知て通行」(西蝦夷日誌)するのみであった。安政4年ハママシケ・マシケ両場所請負人伊達林右衛門が,自費でこの山道を開削し,同年松浦もこの山道を山越えした。昭和55年増毛~浜益間の海岸線に沿って走る国道231号(札幌市~留萌市)が開通し,増毛山道は完全に過去のものとなった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7008237