100辞書・辞典一括検索

JLogos

17

鬼神社
【きじんじゃ】


弘前市鬼沢菖蒲沢にある神社。旧郷社。祭神は高照比売命。「おにがみさま」と呼ばれ,「おにじんじゃ」とも称する。社伝によると,延暦年間坂上田村麻呂が岩木山本宮の高照比売の霊験を受け,山麓に巌鬼山西方寺観音院を創立し,同時に当社を勧請した。その後当社は現在地に移転したという。また伝説によれば,鬼沢村が長根派と呼ばれていたころ,村人のひとり弥十郎が巌鬼山赤倉沢で大人(おおひと)(鬼)と懇意になり,その助力で逆さ水を引いて付近を開田することができたので,村名を鬼沢と改め,また鬼の使用した鍬や蓑笠を納めて当社を建立したという。元禄7年成立の百沢寺光明院縁起(百沢寺文書)には,岩木山の鬼が鎮められて赤倉沢に住むという伝説が記されており,ともに巌鬼山西方寺観音院(岩木山神社別当百沢寺の前身)の創建と深く結びついている。当社は巌鬼山神社(弘前市十腰内)と同様,観音院を中心とした岩木山北麓地域の岩木山信仰の1拠点であったと考えられる。寛永2年に観音院が百沢寺に併合されてのち,当社は現在地に移されたという。明治6年,それまでの赤倉山鬼神大権現を鬼神社と改称し,村社に列格。明治14年には郷社となった。当社が鬼をもともとの祭神としているため,鬼沢では今も節分で豆をまかず,端午の節句に蓮や菖蒲を屋根にささない。旧暦1月29日には米作りの豊凶占いとして七日堂祭が行われ,また正月には村の若者が厳寒の中まわし1本で大注連縄をかつぎ,神社に奉納する裸詣りが行われている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7010664