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北通
【きたどおり】


田名部(たなぶ)(むつ市)と長後(ちようご)(佐井村)を結ぶ街道。田名部から川代(かわだい)(むつ市)-大畑-下風呂(風間浦村)-大間-佐井を経て長後に至る。田名部~大畑間は大畑道と称した(北奥路程記)。田名部~大間間は国道279号,大間~長後間は国道338号の路線にそれぞれほぼ相当する。街道の名称は下北半島の北側の太平洋沿岸を,北通と称することにちなむ。慶安2年の「大道筋」(奥州之内南部領海陸道規帳)によれば,横道として大畑~田名部間があり,距離は4里。海辺道は大畑-大間-長後を結び,距離は10里。計14里の行程である。江戸期末の「北奥路程記」によれば,田名部-大畑-長後間の距離は15里32町33間である。大畑~長後間は山坂の道で,難所のため夏冬とも牛馬不通とみえる。大畑~大間間にある大畑川は船渡しであった。駄賃については今のところ史料がなく不明。この街道の沿岸には田名部七湊のうち大畑・異国間(いこくま)(風間浦村)・佐井の3湊があり,諸湊と田名部代官所の連絡路として利用された。江戸後期になると異国船の出没に伴い,沿岸警備が重視され,台場が設けられた。大畑には5貫目の震天筒・3貫目の躍雲筒各1門と,2貫目から500匁までの大砲7門,佐井には2貫目の無敵筒・折歴筒各1門と,1貫目と700匁の大砲各1門,大間には3貫目のホウイッスル1門と,1貫目から300匁までの大砲が3門,異国間には2貫500匁の威遠筒1門,2貫目の罵撃筒1門,700匁の大砲1門がそれぞれ置かれた(田名部録)。大間崎に船遠見番所が江戸初期から設けられていた(大道筋)。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7010681