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気比神社
【きひじんじゃ】


上北郡下田町上久保にある神社。旧郷社。祭神は足仲彦尊(仲哀天皇)。明治維新の神仏分離以前は正善堂,蒼前堂などと呼び,馬頭観音堂とも称した。通称木ノ下の地に所在する。「国誌」は天文2年縁起を焼失したとしながらも,文明9年木ノ下の農民松林喜蔵が創祀したという。拝殿内の額に墨書された木崎野馬護神祠堂記は,盛岡藩の野馬別当川村最親が天明8年に起草し奉納したのを,寛政10年に写したもので,これによると,藩の9牧野のうち特に広大な木崎野は寛永16年3代藩主南部重直が藩営牧としたが,その時馬祖を崇める堂宇を建立したのが当社の創祀という。馬護神として崇敬され,宝暦年間頃の御領分社堂には「勝善堂」とあり,喜蔵が俗別当を務めている。烏帽子直垂の馬上の尊像を本尊としていた(国誌)。近世末期の「北奥路程記」には「ソウセン」と見える(南部叢書7)。明治維新後郷社に列し,現社名に改称。明治13年社殿再建。旧暦6月1日と15日の祭礼には県外からの参詣者も多く,馬に境内の土を踏ませると馬が丈夫に育ち,絵馬を家の厩に掛けると良い馬が得られるといわれた。現在は特に交通安全の神として崇敬されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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