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小栗山神社
【こぐりやまじんじゃ】


弘前市小栗山にある神社。旧郷社。祭神は伊邪那岐命・伊邪那美命・事解男命・速玉男命・少彦名命・大山祇命ほか6神。創祀期は未詳だが,江戸期までは熊野十二所権現を祀るところから十二所神社と称した(国誌)。かつては一野渡村(弘前市一野渡)の八幡岳にあったが,寛永8年現在地に移したといわれる(同前)。また伝説によれば,昔3姉妹の神がいていずれも岩木山の神になりたいと思っていた。ある時3人が神楽を見物していた時,末の女神が抜け駆けして岩木山に納まってしまったので,長姉は岩木山の見えない小栗山に来てこの地の神となり,次姉は平賀町(南津軽郡)の大坊に納まった。このため小栗山や大坊の村人は岩木山のお山参詣には出かけないといわれる。岩木山百沢寺・平賀の大坊および当社は,ともにもともと天台系熊野修験であったが,江戸期になって真言宗に改宗した百沢寺と当社・平賀大坊とが宗派の関係で相容れなくなったために,このような伝承が生まれたとも考えられる。一説には,津軽の支配をめぐって争った2神のうち,勝った神は岩木山に現れ,負けた神が小栗山に隠れたともいう。元和5年2代藩主津軽信枚の国替の話が出た折,供奉を申し出た者83人(のちにこれを士分として取りたて八十三騎と呼んだ)のうちに,当社の神官と思われる「小栗山村禰宜」の名が,見える(津軽一統志)。明治6年に郷社となった。境内には水量が常に一定で眼病によく効くといわれる神泉がある。旧暦8月17日の例祭は,岩木山のお山参詣・猿賀神社の大祭とならんで津軽三大祭と呼ばれ,大勢の参詣者でにぎわう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7010869