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高山稲荷神社
【たかやまいなりじんじゃ】


西津軽郡車力村牛潟にある神社。祭神は宇迦之魂命・佐田彦命・大宮売命。屏風山中の七里長浜沿いの丘の上に所在する。明治26年の火災で記録を焼失し,創祀については諸説がある。1つに,元禄年間浅野内匠頭刃傷による赤穂城明け渡しの際,藩士寺坂某が城内鎮守の稲荷大明神の神霊を奉持して各地を漂泊,弘前城下に仮寓後,鰺ケ沢(あじがさわ)に移って始めた赤穂屋という造酒屋が繁盛した。宝暦年間にその子孫が北海道へ移住する時,船が当地で進まなくなったので,稲荷大明神を祀ったという。また別に,慶長年間牛潟村の三五郎という者が稲荷を信仰し,京都伏見稲荷神社から神霊を勧請,伏見に山容が似ている当地に祀ったという。ほかにも平安後期の陸奥の豪族安倍貞任が創祀したとも,鎌倉期に牛潟城主政子某が北門守護のために勧請したとも伝える。農業・漁業の神として多くの信者を持ち,その信仰圏は県内はもとより,北海道・東北から神奈川・静岡に及んでいる。大正初期頃から宮司がゴミソに神習教の教導職免許状の斡旋をし,ゴミソを掌握したのが大きく発展した理由といわれる。境内入口の手前にチェズボロー号遭難慰霊碑がある。この碑はアメリカの貨物船チェズボローが明治22年10月七里長浜沖で座礁大破,船長以下19人の乗組員が死亡した時のもの。同24年柏山の墓地に建てられたが,昭和45年現在地に移転した。なおチェズボロー号遭難時の村民の献身的な救助活動は特筆される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7011600