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椿神社
【つばきじんじゃ】


東津軽郡平内(ひらない)町東田沢にある神社。旧村社。祭神は猿田彦命。ツバキ自生北限地帯として知られる椿山(国天然記念物)の海岸部に位置し,陸奥湾に面する。天正年間頃当地の横峰嘉兵衛の女房に神が乗り移り,詫宣によって当地の守護神として椿崎大明神を祀ったのが創祀。当初鳥居だけだったが,元禄11年には社殿を造営したという。同年4月の棟札写に「奉造立椿宮女人神霊」「別当日光院六世山造法印」とある(平内町史)。明治6年猿田彦神を主神とし,村社に列格。椿山には約22haの地域に大小7,000本余のヤブツバキが群生している。日本特有の暖地系海岸性植物で,5月頃真紅半開の花を開く。沖縄から本州に自生するが,東北地方では発生力が衰え,北緯41度の椿山で北限を告げる。寛政7年の菅江真澄の紀行文「津可呂の奥」に,文治年間当地の娘が上方の船乗りと言い交したが,約束の年になっても船乗りはもどらず,娘は海に投身した。この後当地に着いた船乗りは娘の死を悲しみ,持ってきたツバキの実を墓に植えたという伝説が記される。南方系の椿が当地に繁茂した過程を語る伝承で,このツバキが現在の椿山になったといわれる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7011828