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東照宮
【とうしょうぐう】


弘前市笹森町にある神社。旧県社。祭神は徳川家康公(東照大権現)・天照皇大御神。元和3年,2代藩主津軽信枚は正室で徳川家康の養女葉縦院満天姫の願いにより,寛永寺開山天海を通じて幕府に対し弘前に東照宮を祀ることを願い出,許されて城内に勧請した。寛永元年,城内から東北の現在地に遷座し,天台宗薬王院を別当とし,社僧6家(千寿院・成就院・寿福院・教王院・延命院・観行院)と神職2家(桃井和泉・山辺丹後)を配した。寺領は200石,社僧神職は各々15石が与えられた(国誌)。これにより,徳川御三家に先がけた全国で最も早い東照宮勧請となった。薬王院ははじめ天海の意見により東照院と称していたが,やがて岩鬼山叡平寺薬王院と改称(津軽歴代記類)。新寺町の報恩寺とともに天台宗の僧録を務めた。また,衆徒社僧ははじめの6家から12家に増加した(国日記天和3年正月9日条)。文政元年に拝殿が建立され,天和5年に9代藩主寧親により社殿が改築された。明治3年,当社は神仏分離により薬王院から独立し,同12年郷社,同14年県社に列格した。なお,薬王院は東照宮の独立後,廃寺となったが,明治10年に再建された。現在の本殿は寛永元年創建当初のもので,東照宮建築としてはほかに例のない独自なもの(国重文)。すべて素木造りで,彫刻・金具などの装飾もほとんど用いない簡素なものではあるが,全体のバランスが美しく,桃山風建築の技術を充分生かした秀れた建造物である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7011897