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西通
【にしどおり】


田名部(たなぶ)(むつ市)から川内を経て脇野沢に至る街道。国道338号の田名部~脇野沢間の路線にほぼ相当する。名称の由来は下北半島西部南側の陸奥湾沿岸を,西通と称することにちなむ。嘉永7年の「南部盛岡藩領内絵図」には牛滝(佐井村)から田名部までのこの街道を西通と記している。慶安2年の「大道筋」(陸州之内南部領海陸道規帳)によれば,入海辺道として田名部―城ケ沢(むつ市)―川内―脇ノ沢の順路が記され,距離は10里とある。この間,主に海辺の砂浜を歩いたものと思われるが,城ケ沢~川内間は山坂の間であった。この街道にはうそり川(現水上沢)と川内川の2川があり,ともに徒渡りであった。駄賃については今のところ史料がなく不明である。街道の沿岸には田名部七湊のうち大平(むつ市)・川内・脇野沢の3湊があり,諸湊と田名部代官所の連絡路として活用された。また牛滝は盛岡藩の遠追放六か所の1つとされ,この街道を使用して罪人が送られたと思われる。脇野沢から脇野沢川を北にさかのぼり牛滝へ至る道筋は牛滝越えと通称された。江戸後期からの異国船出没に伴い,沿岸警備が重視され,台場が設けられた。脇野沢には1貫目の植種筒,500匁と300匁の巨霊神各1の計3門の大砲が備え付けられた(田名部録)。脇野沢の「おきな」には,江戸初期から船遠見番所が設けられていた(大道筋)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7012231