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上り街道
【のぼりかいどう】


八戸と福岡(岩手県)を結ぶ街道。八戸から市野沢(南郷村),観音林(岩手県)を経て福岡に至る。登り街道とも記す。県内部分は国道340号の路線にほぼ相当する。八戸藩の参勤交代路として使用されたため,この名称が付けられた。福岡からは逆に,目的地の地名をとって八戸街道と呼ばれた。慶安2年の「大道筋」(奥州之内南部領海陸道規帳)によれば,小道として福岡から八戸までは8里とある。「邦内貢賦記」の天和年間の調べによれば,福岡と八戸藩領の観音林間は2里29町20間とある。嘉永2年の「道中記」では,八戸~市野沢間は3里半,市野沢~観音林間3里,観音林~福岡間2里29丁で計9里11丁となっている。八戸~市野沢間の道筋は平坦であるが,市野沢―観音林―福岡は山道であった。承応2年の「雑書」に福岡~八戸間の一里塚および道筋柳の改めを中堀切半五郎が勧めていることが記され,盛岡藩も当初,この街道を八戸と福岡,さらに盛岡を結ぶ要路としていたことがわかる。現在,南郷村頃巻沢(ころまきざわ)に1基,市野沢に2基一対,大森に2基一対の一里塚が残る(いずれも県史跡)。駄賃については不明な点が多いが,晴山文書の「御高札文集」には八戸~市野沢間3里19町半で106文とある。寛文4年の八戸藩創設とともに,参勤交代路となり,市野沢と観音林には伝馬継所と藩主が休憩する御仮屋が置かれ,また本藩である盛岡藩との連絡路としても重視された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7012356